Null(ヌル)=そこに値がなにもないこと。何ら意味を持つ文字ではないことを示す特殊な文字。ここは"0"ですらない半端なものばかり。
Posted by ino(いの) - 2008.08.04,Mon
スコールとバラムの街に出かけた帰り。
天気予報の通り、雨が降ってきた。
「わ~ぁ、降って来ちゃったよ~」
用心深いスコールのおかげで、それぞれ傘はちゃんと持ってきている。
だから2人とも濡れることはない。
景気良くバサリと傘を開いた。
バラムの青い街に、私の赤とスコールの黒の傘。
良く見ればあっちこっちに色とりどりの傘の華。
「けっこう強いな…」
スコールの声が傘の向こうから聞こえる。
たった少しの身長差でも、傘をさしたらそれは大きくなる。
傘って不便だね。
傘をさすことで回りの世界が狭くなってしまうから。
「傘って、寂しいね」
赤い傘の中から、私は隣にいるはずのスコールに話し掛ける。
「何でそう思う?」
「だって、いつもはみんなと同じ世界にいられるけど、傘開いたとたんに自分だけって感じがするんだもん。傘で、一人の世界が出来ちゃって、この世界に閉じこもっちゃう」
この薄いさほど広くもない防水布にここまで思うなんて…。
スコールからの返事は返ってこない。
聞こえなかったのかな?
傘越しだと聞こえにくいもんね。
それとも聞いてなかっただけ、とか?
どっちにしても少し寂しいな。
「……簡単なことだ」
「ふえっ?」
しばらくたってから、スコールがその口を開いた。
「要するに、こうすれば解決できるだろ」
傘が閉じる音がしたかと思ったら、突然スコールの大きいからだが私の小さな傘の中に入ってきた。
「ス、スコール。それじゃあ、スコールが濡れちゃうよ」
慌てて私は傘を高く持ち上げる。
「少々のことは平気だ」
私の手から、ひょいと傘を取り上げた。
「こうすれば、少なくとも一人の世界じゃないだろ」
あ………。
「簡単なことだろ?」
確かに…。
こんなに簡単な解決法があったんだ。
確かにこれなら一人じゃない。
むしろ、こっちの方が近くに感じることができる。
それに、なんだか、これって…。
「……これなら、2人きりの世界だね」
思わず口にする。
だって、そうじゃない。
なんだか嬉しい。
私は、傘をさすことが少し好きになった。
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友達カップルのアイアイ傘から連想しただけ。(汗)
ちっとも甘くないな……。
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