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Null(ヌル)=そこに値がなにもないこと。何ら意味を持つ文字ではないことを示す特殊な文字。ここは"0"ですらない半端なものばかり。
Posted by - 2025.08.06,Wed
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Posted by ino(いの) - 2008.08.04,Mon
 


スコールとバラムの街に出かけた帰り。

天気予報の通り、雨が降ってきた。



「わ~ぁ、降って来ちゃったよ~」



用心深いスコールのおかげで、それぞれ傘はちゃんと持ってきている。

だから2人とも濡れることはない。





景気良くバサリと傘を開いた。



バラムの青い街に、私の赤とスコールの黒の傘。





良く見ればあっちこっちに色とりどりの傘の華。



「けっこう強いな…」



スコールの声が傘の向こうから聞こえる。

たった少しの身長差でも、傘をさしたらそれは大きくなる。





傘って不便だね。

傘をさすことで回りの世界が狭くなってしまうから。



「傘って、寂しいね」



赤い傘の中から、私は隣にいるはずのスコールに話し掛ける。



「何でそう思う?」

「だって、いつもはみんなと同じ世界にいられるけど、傘開いたとたんに自分だけって感じがするんだもん。傘で、一人の世界が出来ちゃって、この世界に閉じこもっちゃう」



この薄いさほど広くもない防水布にここまで思うなんて…。





スコールからの返事は返ってこない。



聞こえなかったのかな?

傘越しだと聞こえにくいもんね。

それとも聞いてなかっただけ、とか?



どっちにしても少し寂しいな。



「……簡単なことだ」

「ふえっ?」





しばらくたってから、スコールがその口を開いた。



「要するに、こうすれば解決できるだろ」



傘が閉じる音がしたかと思ったら、突然スコールの大きいからだが私の小さな傘の中に入ってきた。





「ス、スコール。それじゃあ、スコールが濡れちゃうよ」



慌てて私は傘を高く持ち上げる。



「少々のことは平気だ」



私の手から、ひょいと傘を取り上げた。



「こうすれば、少なくとも一人の世界じゃないだろ」



あ………。



「簡単なことだろ?」



確かに…。

こんなに簡単な解決法があったんだ。



確かにこれなら一人じゃない。

むしろ、こっちの方が近くに感じることができる。



それに、なんだか、これって…。



「……これなら、2人きりの世界だね」



思わず口にする。

だって、そうじゃない。



なんだか嬉しい。



私は、傘をさすことが少し好きになった。


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友達カップルのアイアイ傘から連想しただけ。(汗)
ちっとも甘くないな……。
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