忍者ブログ
Null(ヌル)=そこに値がなにもないこと。何ら意味を持つ文字ではないことを示す特殊な文字。ここは"0"ですらない半端なものばかり。
Posted by - 2025.09.10,Wed
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by ino(いの) - 2008.08.04,Mon
※「傘」の出刃が…もといアーセルバージョン



今日は久しぶりのOFFの日。
さて、どうしよっかな?
リノアとキスティと三つ編みちゃんとバラムの美味しいケーキ屋さんにでもいこっかな?
確か、新作の季節限定ケーキが出たんだよ。
ぜ~~ったいに食べなきゃ!





「ごめんね、せっかくのお誘い嬉しいんだけど、教員会議が入ってしまって……」
ガーデンの職員室の前でキスティは両手を合わせた。
バラムガーデンの教員に返り咲いたキスティはSeeDの仕事もこなしながら教鞭をとっているので、毎日が忙しい。
今日のようにせっかくのOFFであっても、教員会議やらなにやらかにやら入ってしまうこともたびたびだったりする。
「また次の機会に誘ってちょうだい。ごめんね」
申し訳なさそうに微笑む彼女はとても美人だ。
こうやっている陰でセルフィの鍛えぬかれた耳は誰かがカメラのシャッターを切る音を聞き逃しはしなかった。
キスティスFCだな…。
その通りである。
「ううん、気にせんといてな。会議じゃしゃあないもん」
セルフィは慌てて笑う。
「それじゃ、お土産にケーキ買ってくるわ」
そう言い残して、そそくさとその場を離れていった。







「せっかくですが、今日はちょっと…」
「え、三つ編みちゃんもだめなんか?」
彼女の自室の前で、セルフィは唖然とした。
「今日は、ゼルさんとバラムの海岸に出かける約束をしているので…」
なにっ!?
スコールの次に、ガーデンの話題王ゼルが三つ編みちゃんとお出かけ?!
ショック反面、やっとこの二人もデートができる状態にまでレベルUPしたのか……、とセルフィは少し感動してしまった。
「よかったやんか!そんなら気合入れてデートに挑まな」
自分のことのように喜びはしゃぐセルフィ。
「えへへ、ありがとう」
はにかむ三つ編みちゃんを目にして『くーっ、めっちゃかわいいやんけぇ!』と心の中で親父くさいセリフをぼやく。
「ほな、お幸せにな。お土産、ケーキ買ってくるわ」
お邪魔者は退散と、セルフィはそそくさとその場を退散した。



かくなる上は、リノアだけでも誘って、ケーキ食べにいったる。







「えーっ、リノアいないの?」
「え、セフィ知らなかった?リノア朝早くからスコールと一緒に出かけたんだよ」
食堂の一角で、すっとんきょうな大声をあげたセルフィにアーヴァインはコーヒーをすすりながら答えた。
「まだ出かけるには早い時間だから、絶対はんちょと一緒に食堂にいると思っていたのに」
「何でも、ガーデンに用事って事でガルバディア・シティからリノアパパ(笑)が来るらしいよ。そのお迎えだって。ついでに買い物とかも済ませたいって言っていたから、大佐が到着するまではきっとデートだね」
「ムムムムム…」
ここまで当てが外れてしまうともうどうしようとも思いつかなくなる。
もう、幾数人もの恋人達に振られた優男の気分である。
「ふられてもうたなぁ」
さびしいなあと思う気持ちを隠すように、セルフィはアーヴァインの正面の椅子に座った。
「今日どないしよ…」
こうも当てが外れるのも取り残されたようで面白くない。
「そんじゃ、セフィ。僕といっしょに行かない?その美味しいケーキ屋」
「へっ?」
コーヒーを飲み終えたアーヴァインがくすくすと笑いながら、そう言ったのを、セルフィは聞き逃さなかった。
「で、でもアービン他に用事あるんとちゃう?他の女の子とデートとか…」
「セフィ、僕のこといつも女の子とデートしてる男とでも思ってるのかい?」
まいったなぁとアーヴァインは頭をかく。
「そ、そんなわけちゃうけど」
「だったら気にしなくてもいいじゃない?僕が誰とデートしてもさ。約束がないから、セフィ誘ってるんだよ」
にっこりと笑う。
「……ア、アービンかまわんの?」
「しつこいなぁ、もう。僕がいいって言ってるからいいの。それに、今からバラムシティ行ったらスコールやリノアの様子見ることできるかもよ?」



キュピーン!



アーヴァインの一言に、セルフィの目が光った。
ガーデン・スクエアに載せるネタが転がってくれているかもしれないとでも考えたかな?
そのアーヴァインの予想はあながち外れていなかった。
「そや、はんちょとリノアのデートの場面なんてオイシイネタ、そうやすやすと見逃したらあかん!それは罪や!それを逃したら、うちみんなに顔向けでけへんわ!」
燃える出刃亀記者根性!
オイシイネタのためならば、たとえ火の中水の中!!
オメガ・ウエポンとハバムートが腕組んでイフリートが吹く炎とシヴァのダイヤモンドダストの競演の中、ラインダンス踊ってようとも、どこへだって行ってやる!!!
「アービン、ありがとな!ほなさっそく、バラムの街に行こ!」
食堂を飛び跳ねて出て行くセルフィを見ながら、アーヴァインはため息をついた。



がんばれ、僕……。







「セフィ、なんか僕達、やってることがスパイみたいなんだけど…」
「何言っとるアービン。いい記事書くためにはこのくらいはせんと…」
バラムの街角、セルフィとアーヴァインはお目当てのケーキ屋も通りすぎ、早速スコールとリノアのデートを発見し尾行をはじめたのだ。
「このセルフィ特製『赤外線暗視スコープ搭載超高性能高画質高音質デジタルカメラ・盗撮君1号』をなめんといてやっ、ばっちし二人のラブラブぶりを納めちゃるで!」
まさに情熱と記者魂、さらに好奇心と出刃亀根性。
世の中こんな記者ばかりだと、有名人はこまるねえ…そんなことをアーヴァインは考えていた。
「あっ…」
突然、セルフィが空を見上げた。
「雨、振ってきちゃったね…」
ガーデンを出たときから空模様はあまりよくなかった。
だから振ってきてもそんなに驚きもしない。
アーヴァインは持ってきていた傘を広げ、セルフィの上にかざした。
セルフィはカメラのファインダーから目を離さない。
多分、その先の二人に気を取られてアーヴァインの行動には気がついていないのだろう。
しょうがないなあ…と、アーヴァインは苦笑する。
「おおっ!」
セルフィの視線の先で何か進展があったらしい。
アーヴァインにとっては、二人のラブラブぶりにさほど興味がない。
二人が幸せで世の中が平和なら、それでいいんじゃないの?程度の感覚だ。
「進展、進展!これはいい感じや!」
あまりにもセルフィがはしゃぐ様子に、アーヴァインはどうかしたの?とその視線の先をみた。
「……あ」
その先の商店街でスコールとリノアの二人はひとつの傘をいっしょに使っていた。
俗にいう相合傘、と言うやつだろう。
「はんちょもやるねえ」
ドキドキワクワクとカメラを回しているセルフィ。
よく見ればスコールはその手に彼用の黒い傘を持っていた。
二人はリノアの赤い傘のなかで何か言葉を交わしている。
その雰囲気は柔らかく、傍目でみてものすごくうらやましいものだった。
でも、それはとても儚くて……。







セルフィは手のビデオカメラをまわすのをやめた。
「どうしたの?セフィ」
「やめた…」
ポツリと小さな呟き。
「なんだか、二人の邪魔してるよ……」
いつのまにか、トラビア弁が標準語になっていた。
「あの二人、ほんとにお互いと一緒にいられる時間を大事にしてる。悔しいけど、そんな二人をネタにはしちゃダメだなって思うんだよね……」
セルフィはしみじみと呟く。
どこか寂しそうなリノアと、優しいまなざしのスコール。
「そうだね」
アーヴァインも頷く。
あの二人はただでさえ、必要以上に世界の注目を浴びなければいけない。
それなのに、仲間である自分達まで彼等の生活を騒がすようなことをしてしまえば、二人はいつ穏やかな時を過ごせばいいのだろうか?
「今日のところは、やめにしておこうか」
アーヴァインはセルフィを見下ろした。
「そうする」
セルフィは、ビデオカメラを手持ちのバッグにしまった。
そして、一回深呼吸する。
にこっとセルフィはわらった。
「ほな、本来の目的のおいしいケーキ、食べにいこか!」
「そうだね。みんなにもお土産買っていかなきゃね」
アーヴァインの言葉に、ようやくセルフィは自分の状況を察した。
「あ、アービン…」
「なんだい?セフィ」
突然顔を赤くして立ち止まったセルフィをアーヴァインは不思議そうに見た。

あたし、自分のことばっかりで君のこと忘れていたんだ…。

「ご、ごめんね…。あの、その、傘」
「あ、ああ。傘がどうしたの?」
きょとんとアーヴァインは答える。
「だから、うちにだけ傘さしてくれて、アービン濡れとるやん…。だから…」
真っ赤になって、ポケットから黄色のハンカチを取り出し、差し出した。
いつもセルフィが『幸せの黄色いハンカチ』といっているお気に入りのハンカチ。
「気にしないで、セフィが風邪引いたら大変だからね。でも、ありがとう…」
アーヴァインはセルフィからハンカチを受け取らなかった。
「違う違う、ありがとうはうちのセリフや」
「あれ、そう?」
「そうや!」
そして、もじもじといつものセルフィらしくないしぐさをすると、真っ赤な顔を避けに真っ赤にしてこう付け加えた。
「…ありがとう、アービン」
「お礼言われる事したつもりじゃないんだけど…、じゃあ一応、どういたしまして、だね」

いいんだよ、そんなこと気にしなくても。
僕がそうしたくて、そうしてるんだから…。

「それじゃあさ、また一緒にケーキ食べに来ようよ。二人で」
お目当てのケーキ屋はもうすぐそこ。
「また、晴れた日にでもさ」
こんな雨の日じゃなく、傘をさすこともない日に。
「うん。また一緒に来よな」
セルフィはにこっといつものスマイルで答えた。
それでこそ、僕のセルフィだよ…。
心の中で、そんなことを思いながら、アーヴァインはケーキ屋の前に立った。
「さて、お嬢様。今日のケーキは何をご所望ですかな?」
うやうやしくケーキ屋のドアを開け、中に入る。
「えーと、期間限定のオススメケーキ!」
もういつもの二人だ。
「それから、このティラミスと木苺のタルト。キスティに苺のミルフィーユでしょ、三つ編みちゃんはブルベリーのムース」
「リノアには?」
「嫌がらせしちゃおっか。チーズケーキ18インチひとつに、このチョコレートケーキ特大!」
「嫌いなのかい?」
「ううん。太るからあんまり食べないようにしてるんだって」
そう言えば、最近食堂でリノアがそんなことをぼやいていたような気がする。
「セルフィの分は、これだけでいいのかい?」
いつもなら、甘いものは別腹とか何とか言って5,6個は食べるのに…と暗に言っているのである。
「だって、今日食べたいもの全部買っちゃったら、次アービンと来たとき食べる楽しみ無くなるやん……」
まさかそんな言葉が返ってくるとは思わなかった。



不意打ちだよ…。まるで。



「ありがとうございましたー」
後ろにケーキ屋の店員の声が見送ってくれる。
外に出た二人は、もう雨が降っていないことに気がついた。
「雨、やんだ…」
「もう、降りそうにないね」
「傘、もういらないね」
「そうだね」
少し残念。
でも、いいや。
「早く帰ろう、セフィ。ケーキは美味しいうちに届けてあげないと」
「そうだね。アービン」
雨上がりの道を二人は歩いて行く。





「あ、そうだ」
「どうしたの?セフィ」
「ゼルと三つ編みちゃん、今日デート」
「そりゃ、ゼルもたいした快進撃だね」
「よっしゃ!二人に突撃インタビューせな!」
「……セフィ…それじゃあさっきと一緒だよ…」
「何言ってんのや、あの2人はこうもせんとくっつかんわ。いいかげんあの2人もゴールインすりゃええのに…」
「ゴ、ゴールイン……」



いいかげん、僕にも気がついてよ……。

僕のセフィ。


---------------------------------------------------

アーセルでないかた、読まないほうがいいかもって、それは最初に書け!
PR
Comments
Post a Comment
Name :
Title :
E-mail :
URL :
Comments :
Pass :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
TrackBack URL
TrackBacks
ブログ内検索
最新コメント
アクセス解析
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]