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Null(ヌル)=そこに値がなにもないこと。何ら意味を持つ文字ではないことを示す特殊な文字。ここは"0"ですらない半端なものばかり。
Posted by - 2025.09.01,Mon
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Posted by ino(いの) - 2008.08.04,Mon
 

その日、この工房の近辺を訪れた者たちは、皆同じ反応をしたらしい。
この現象には慣れっこになってしまっている、金髪の爆弾娘と呼ばれた女性を除いて。


「なんだこりゃぁ」


王室騎士隊所属、聖騎士の一人である青年は、その日この工房の主に依頼を頼むつもりでここを訪れた。
そして、工房の入り口で、唖然とすることになる。
「あら、門番」
「こんにちわ、ダグラスさん」
すでに先客がいたのだが、その二人もどうやら同じ反応を表したところだったらしい。
「門番言うなって、オッス」
アイゼルとノルディスの二人それぞれの挨拶に、一言で返してしまう。
「これ、なんだ?」
唖然とした原因を指差し、二人に聞いてみる。
「さぁ……」
「私のほうが聞きたいわよ」
困ったような返答。
それもそのはず。
工房の入り口を中心に、恐ろしいまでにのどかなオーラが漂っている。
「く~ぴ~」
「…イェイ、バッチリだぜぃ~…」
「……う~ん、失敗……」
「むにゅ~……」
「……もうたべられな~い……」
「……やっと虹妖精になれたよ~ぉ……」
「……森に……帰りたい……」
7人の妖精たちが、並んで日向ぼっこ&お昼寝タイム。
「寝てるな」
「確実に寝てますね」
「ぐっすり寝てるわね」
この現象における、3人の見解は一致。
それはもう見事に爆睡している妖精たち。
この界隈では、たまに見られる現象だ。
「それは別にいいとして……」
7にんの妖精を横目に、ダグラスは本題に移った。
「なんで、こいつまでここで寝てるんだ?」
「それなんですよね」
「まったく、この子ったら……」
妖精7人のど真ん中。
工房入り口の石段に腰掛けて、ドアにもたれかかりぐっすり眠っているのは、この工房の主。
オレンジ色の法衣を着た、エルフィール=トラウム。
「こいつには危機感つーもんがないんか?!」
「あるならこんなところで寝てなんかいないでしょうね」
しっかりと断言するはアイゼル。
なにせ、気持ちが良いというだけで、アカデミーの図書室でぶっ倒れたまま昼寝をしてしまう人間なのだ、このエルフィールという少女は。
「おい、エリー!起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ~!!」
ダグラスは、エルフィールの肩を両手でつかむと、思いっきり揺さぶる。
「ふ、ふえっ?!にゃあぁぁぁぁ!」
「ちょっと、門番!女の子に何するのよ!!」
急に揺さぶられて驚くエリーの声と、アイゼルの怒鳴りが同時にダグラスの耳を襲った。
「まぁまぁ、アイゼル。ダグラスさんだって、エリーに乱暴しようとは思っていないはずだって」
「そうかしら、この粗忽で乱暴な門番に、一度女の子に対する礼儀ってものをその根性に叩き込んであげる必要があってよ!」
「はいはい、そうかもね~」
自分の親友に対する扱いに怒り心頭のアイゼルと、それを手馴れたようになだめるノルディス。
くらくらと、目を回しながらも目を覚ましたエリー。
「ようやくお目覚めか?」
「ふぁい~、お目覚めしましたぁ~」
まだくらくらしながら、エリーはようやく3人を見上げた。
「あれ~?アイゼルにノルディスも~。どうしたの?」
ようやく、状況を認識したらしい。
「どうしたのって、エリー、あなたね~」
そののんきな言葉に、怒り心頭から一転して思いっきり脱力したような気分になる3人。
「いやぁ、今日はいい天気だよね~。依頼もひと段落したから、妖精さんたちとちょっと休憩してたの」
「それで、この状態?」
ノルディスが、エリーの両側にずらっと寝転ぶ妖精たちを指差した。
「うん、いつもみんなにはお世話になってるからね。休憩くらいは思いっきりしたいかな~?って」
「思いっきりにもほどがあるよ、エリー……」
「そうかな~?でも、気持ちいいよ~」
「で、一緒に日向ぼっこしてたら、寝ちゃったってことだね」
ノルディスの言葉に、ニコニコとエリーは頷いた。
これだけ真ん中で4人がにぎやかにやり取りしていても、眠っている妖精たちは微動だにせず、しっかり夢の中を満喫しているようだ。
「ね、みんな気持ちよさそうだし~」
「別に、ちびたちが昼寝するにはかまわねぇよ」
ノー天気なエリーに対し、少し、いや、かなり怒気の混じったダグラスの声。
「問題は、なんでお前までここで昼寝してるかってことだ!!」
「ふえぇぇぇん!」
ぐわしっと、エリーの頭を抱え込むと、拳骨でぐりぐりと。
「俺は普段から言ってるよな~。お前は危機感が足りないってな~。ここはお前が育った田舎じゃねぇんだ、用心しろ~ってなぁ」
「うにゃぁ~ん、ごめんなさぁ~い」
「往来でのんきに昼寝するなって、俺は前に言った覚えもあるがな~」
グリグリグリグリ。
周りから見れば、じゃれあいのようなやり取りも、当の本人たちにとってはそうでないようだ。
「だから、門番!やめなさいよ!!」
「だから、アイゼルってば、ダグラスさんはエリーのことが心配なんだよ」
ひとりこのにぎやかな3人をなだめるお父さんのようなノルディス。
ダグラスのグリグリは、まだ続く。
「心配だからって、女の子に普通、こんなことしないでしょ?!」
「だから~……」
こっちはこっちで、また別の賑わいに進展しそうな勢い。
「ごめんなさい、ごめんなさ~い、もうしない~!」
「誓うか?」
「誓う、誓う~!イングリド先生に誓う~!」
「フツー、こういうときは神に誓うとかいうもんだろ…」
ダグラスの手が止まった。
「イングリド先生に誓っとけば、誓い破ったら恐ろしいことになるってことだね、エリー」
納得と、手を打つノルディス。
「エリー、ノルディス、それ、イングリド先生の前で言える?」
アイゼルの突っ込みに、二人仲良く首を振る。
「誓えねぇ誓いをすんじゃねぇ」
「や~ん、ダグラス勘弁してぇ~」
単にじゃれあいのようにも見える一連のやり取り。
「おにーさん、おねーさんいじめちゃだめ~」
「その辺で許してやっておくれだぜ、ベイベ~」
不意に、下から聞こえる声声声。
よく見れば、座り込んだダグラスとエリーを取り囲むように、7人の妖精たち。
「意地悪だめだよ、おにーさん」
「そうだよ、仲良しさんしなくちゃだめなんだよ~」
それいけわらわら、とダグラスによじ登り始める。
「こ、こら、ちびども、よじ登るなって」
「おねーさん、いじめない?」
「いじめてない、いじめてない」
「意地悪しない?」
「してない、してない」
「じゃぁ、肩車して~!」
結局、よじ登られることに変わりはない。
「あははははは、ダグラス木登りされてる~」
その横で、エリーが笑っている。
「あら門番登り?登り甲斐ありそうね」
その横で、ニヤニヤと笑みを浮かべるアイゼルに、苦笑しているノルディス。
青い鎧に、色とりどりの妖精がなかなかにぎやかなカラーリング。
「お前ら、好き勝手言いやがって……」
肩車はもちろん、両肩、頭の上、ひざの上など、乗れる場所はすべて妖精に占拠されてしまったダグラス。
「あ、いいなぁ~」
「エリー?!」
その様子を見て、うらやましそうに言うエリーと、その発言にびっくりするアイゼルとノルディス。

それって、妖精にまとわりつかれている門番に対しての『いいなぁ』なのかしら?
それとも、ダグラスさんに抱っこされている妖精たちに対する『いいなぁ』なのかな~?

二人の脳裏に、そんな疑問が浮かんだり浮かばなかったり。
「ダグラス、私も私も~」
どうやら、後者だったようだ。
さらにオレンジ色が追加。
「ええい、くっつくなぁ!お前らまとめて俺をつぶす気か!」
ダグラスの叫びに、くっついている一同全員声をそろえて

『だって、いつものことじゃない』

「はいぃっ?!」
驚きの奇声は、どうやらまたアイゼル&ノルディス。

いつものことって、いつものことって、いつものことって……。
つまり、似たようなことがいつもあるんですか?

たしかに、妖精7人+エリーがくっついても、そう簡単につぶれるダグラスではないだろう。
そして、二人は気がついた。
ここが往来のまん前だということに。
「エ、エリー、とりあえず、みんな目が覚めたことだし、工房に入りましょう」
あわてて、目の前の2人と7人の妖精たちを追い立てるように、工房の入り口を開いた。
「え、どうしたの?アイゼル」
急に顔を真っ赤にしたアイゼルに、エリーはきょとんと首を傾げる。

「公衆の面前で、恥ずかしいじゃないのっ!!」

今度は、アイゼルがお説教当番らしい。
「ひえぇぇん!」
「それいけっ!」
「ほいきたっ!」
「イェ~イ!」
「わ~いっ!」
「ひゃっほ~い!」
「見よっ!この身のこなし~」
「いつもより多く回っておりま~す!」
「まって~ぇ」
あわてて、工房の中に入るエリーと、それに続く妖精7人集。
「まったく……」
そのあとに続いて工房に入るアイゼルに、始終苦笑しっぱなしのノルディス。
最後に、やれやれとため息をつきながらダグラスが続いた。
あとには、それでものんきな雰囲気を漂わせた工房の入り口。

こんどは、工房の中で、アイゼルによる女子のたしなみについてのお説教がはじまった。
はてさて、工房を訪れた3人の、本来の目的が達成されるのはいつになることやら。

お昼寝日和はいいけれど、時と場合と場所を考えましょう。

---------------------------------------------

往来のまん前で、昼寝するのはもちろん、じゃれあいもやめましょう。

いじめっ子ダグラスなのか、保護者ダグラスなのか、微妙なところ。
しかし、うちのノルディス氏は、どうもお父さんのようなところ、父性愛がひしひしと。つーことは、アイゼルはお母さん?!

しかし、7人の妖精さん………………………………

七人の妖精…………、白雪姫?

よっし、次のネタはこれでいくかぁ!!(←すでに決定事項なのか?!)


我ながら、発想の貧弱さ&ギャグに落とすか度合いが手に取るように解るなぁ……。(汗)
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